あかり「あかりの王子とお姫さま」【未完】

 こんなすてきなことってないよねってくらい、
 夢みたいな日々を過ごしてきました。
 みんなは絵本のなかの王子さまとお姫さまなんて
 つくり話だって言うかもしれないけど、
 あかりにとっては、姫も王子も、本当にいて
 ふたりは小さいころからの大切なお友だちなんです。
 これはあかりの大好きな王子と姫のお話です。

 あかりのお姫さまは泣き虫な女の子でした。
 でも、笑うととってもかわいくて、ちょっと気まぐれで意地悪なところもあるけど、ほんとはすっごくやさしい子なんです。
 お姫さまにはちっちゃいころからのトレードマークのリボンがよく似あってます。
 そんな彼女がうらやましくて、あかりもときどきかわいいリボンを見つけては買っちゃうのだけど、なんとなくイメージに合わなくてけっきょく使わないまま仕舞いこむことになります。
 あかりにとって、女の子の象徴、可愛らしいリボンを身につけることは、あかりのかわいいお姫さまの特権なのです。
 なんて、本人に言ったら笑うかな。
 そうだぞ、あかり。って胸を張るかもしれません。
 昔は泣き虫だった女の子も、今ではすっかり元気な自信家さんです。
 これからもあかりの友達でいてね。
 あんまりあかりにいたずらしないでね。

 あかりの王子さまは、ちょっぴり乱暴で元気な女の子でした。
 飛ぶ
 跳ねる
 駆けまわる
 次々に大人の困ることをして、
 どろんこになって笑ってる子でした。
 あかりもいっしょになって、たくさん遊んだよ。
 ところが最近の王子はクールで、ちょっぴりシャイな恥ずかしがり屋さん。
 でもあかりは知ってます。
 大きくなった王子さまも、中身はあんまり昔と変わってないことを。
 ひょっとしたら、ほんとは今でも、お外で元気に遊びたいんじゃないかな。
 そうしたいときは、あかりに言ってね。
 砂場でもジャングルジムでも、あかりはいつでも付き合うからね。

 そんなふたりがあかりのお友達でした。
 これってほんとうに、すてきなことでしょう?
 王子さまといっしょに駆けっこをして
 お姫さまとお花摘みをして
 そんな風にあかりの毎日は過ぎて行きました。

 ところで、王子さまとお姫さまにはひみつがありました。
 えっと、ほんとは秘密なんかじゃないんだけどね。
 物語のなかの王子さまとお姫さまと来たら、二人がどうなるか、わかるよね?
 そうです。
 ふたりは愛し合っていたのです。

 ★

「ね、あかり」



「あのね、あかりちゃん。結衣が私と結婚してくれるって」
 その日、少し赤い目をした京子ちゃんは、
 ほっぺをトマトみたいに真っ赤にして、あかりにそう言いました。

 雨の日の翌日の、澄んだ青空。
 あたたかいお日様の匂いのする、さわやかな風。
 それはもう、そんなすてきな告白を聞くには抜群のシチュエーションでした。

「おめでとう、京子ちゃん」
 あかりは京子ちゃんの告白にびっくりしながらも、とりあえず言いました。
 まずはお祝いです。
「どうするの?」

「結婚してあげるの」
 と、はにかみ顔で言います。

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