京子「ライバるん観に行こうぜ」

「このあとどうするんですか?」
「とりあえず喫茶店いこうよー。ちなっちゃん喉かわいてるでしょ?」
「そうですね」
「あ、ここでいーいー?」
「あ、はい」
「二名様でーす。煙草すいませーん」
「なに言ってんすか」
「……さて、ふぃー」
「ここクレームブリュレあるみたいですよ。先輩好きでしたよね」
「あー、ブリュレねー。なんか食べ過ぎちゃったっていうかさー、さいきんあんまり。とりあえず飲み物ー」
「はい、飲み物のメニュー」
「さんきゅ。うーん、オレンジジュース」
「じゃあ私もそれで」
「他は?」
「私はいいです」
「うし。すみませーん、オレンジジュース二つ下さい。はい。以上でーす。……ふぃー」
「……」
「さて、今日の映画だけどさ」
「はい」
「面白かったね?」
「なぜに疑問形?」
「いや、ちがうんだよ、だってさ、ほら」
「はあ」
「面白……面白かった、よ?でもさ、ほら、なーんか、ねえ、あの、ほら、さあ?」
「なに言ってるかぜんぜんわかんないですけど……不満だったんですか、今日の映画?」
「『魔女っ娘ミラクるん外伝〜ライバるん戦記』!」
「はい」
「ミラクるんは出ないけど、ミラクるんシリーズのスピンオフでさ、ライバるん主役の映画、これは見逃せねーってわけで、ちなっちゃん誘って来たわけだけど」
「はい」
「ああ……うん、やっぱなんか違ったんだよ」
「はい?」
「なんつーかこう、商業!って感じでした、はい」
「商業」
「いや、正直予告見たときから『これはヤバイなー』って感じしてたんだよ、でもミラクるんだし、そんなばかなっていうか」
「ヤバイ?」
「ミラクるんのアニメってさー、ぶっちゃけつまんないじゃん」
「ぶっちゃけましたね」
「いや、違うんだよ?ミラクるん大好きだよ」
「知ってますけど」
「だけど、なんていうの、つまらない面白さっていうか、ぶっちゃけバカ映画じゃん?ミラクるん。今までのやつも、ばかみたいなことやってて、何故か謎の感動、みたいなさー」
「なんとなくわかるような」
「演出とかも、めっちゃゆるーくて、え?作画とかも、え?これ予算ないの?って感じなのにさ、なーんかいつの間にか夢中になっちゃう謎のよさがあるというか」
「謎なんですね」
「謎なんだよー。ぶっちゃけストレートなよさを追求してないというか、ある意味マニア向け?みたいなのがミラクるんのよさっていうか」
「はあ」
「大衆的な路線狙ってないんだよね。芸術だよ芸術、ある意味、ミラクるんは」
「芸術……」
「でもこれ、今日の『ライバるん』普通の映画っていうか、普通に面白かった」
「よかったじゃないですか」
「よかったよ!」
「なんで怒ってるんです」
「だから違うんだよー、満足、は、してるよ?面白かったもん、でも、なんかミラクるんが商業チックというか、安易な受けと感動を狙って来ちゃってるのが、なんかなー」
「複雑なんですね」
「ミラクるんもなー、なんだかんだで人気ジャンルだもんなー。この映画だってテレビでバンバン宣伝してたし、中の人もバラエティ出まくってたし。いや、うれしいよ?皆がミラクるん好きになってくれるの、皆がミラクるん観て、ミラクるんの話をして、ミラクるんでしあわせになって……すげー、感動っていうか、だけどなんかさー、あ、嫉妬してんのかな、これ、ミラクるん独占欲というか、いつまでもマイナーなままのミラクるんでいて欲しかったのかな……私」
「複雑なんですね、先輩は」
「ちなっちゃんは、どう思った?今日のやつ」
「私は楽しかったですよ」
「まあ、そうだよね。私も楽しかったもん」
「私は京子先輩とならどんな映画だって楽しいですし」
「え?」
「はい」
「ちなつちゃん?」
「はい」
「……遊びいこっか」
「はい!」


終わり。

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